発祥から現代に至るまで
※この節の内容は設定上の歴史であり、すべてフィクションです
文明間の議論のために生まれた言語
紀元前からエジプトとギリシアの間では積極的に交流がありました。 両文明はどちらも数学が発達しており、定期的に両文明から数学者・哲学者(当時は厳密な区別はありませんでした)を出し合って交流を行っていましたが、そこには常に言語の壁がありました。 当初は交流会ごとに交互に言語を入れ替えることで平等をはかっていましたが、自然言語ゆえに「相手方にない表現」や「翻訳者の力量次第で意味が変わってしまう表現」などの問題がありました。
そこで両文明の数学者・哲学者たちを集め、意思疎通に齟齬がなく、厳密で、誰もが平等に議論に参加できる新しい言語を作ることにしました。
このようにしてできた世界最古の人工言語が satu kitav (サトゥキタン)です。
インドとの出会い
5世紀頃になるとインドとの交流が盛んになり、新たにゼロの概念がもたらされます。
サトゥキタンはゼロを意味する文字 v を加える改定を行い、数を表す方法として新たに算用数字も獲得。
これによってほぼ現代と同じ言語体系が整いました。
なお、算用数字自体がサトゥキタンから発祥したという説も存在します。
公用語としての地位の確立
サトゥキタンは言語の研究が未熟な時期に作られたため品詞が極端に少なく、名詞・動詞・形容詞・接続詞のたった4種類しかありません。 しかしそれゆえに言語学に明るくない者でも容易に習得でき、厳密な語彙を持つため、言葉の壁を超えて数学の議論をするために一定の地位を獲得しました。
習得が簡単な一方、サトゥキタンには古くから「母語話者がいない」という問題があり、戦争や管理議会の解散などにより何度も絶滅の危機に瀕してきました。 しかし母語話者がいないことは「変化が少ない」という利点ととらえることもできます。
英語が世界共通語として普及した今でも、数学に関わる団体では公用語としてサトゥキタンを採用しているものが数多く存在するのは、サトゥキタンが持つ不変性が公用語に適した性質だからだと言えるでしょう。
日常に残る サトゥキタン
現代の私たちが使っている「!」や「?」といった記号は、サトゥキタンの主張を表す記号 ! と疑問を表す記号 ? に由来を持っており、意外にも我々の身近にサトゥキタンが存在しています。
他に面白いところだと、世界で3番目に古い高級プログラミング言語 LISP はサトゥキタンの文法をもとに考案されました。 これはサトゥキタンが持つ語彙や文法の厳密性がプログラミングと相性がよいことを示しており、それは同時にサトゥキタンが現代においても厳密な言語であり続けていることを示しています。